商品開発力の高さで定評のあるEさんの会社では、新商品をインターネットで販売することになりました。販売に際して新しくホームページを立ち上げるので、商品名を商標登録することにしました。
商標登録の経費をおさえる為、ネットで調べてみると、なんと自分で商標出願できるとのこと。結局、最低の経費で出願できる方法、つまり自分で出願(自己出願)することにしました。
商標出願では「ウェブサイトの作成」を指定しました。「ホームページを作成して宣伝するのだから」というわけです。半年以上待った結果、無事に商標登録されました。 .COM, .JP, .INFO と、商品名と同じ独自ドメイン名も取得済み。Eさんは大満足でした。
登録商標として認められ安心したのもつかの間、しばらくしたら他会社からいきなり内容証明郵便で警告書が送られてきました。びっくりして読んでみると、なんと、その会社が同じような商品名でその商品について商標登録していたのです!こればかりは自分で対処できないと考え、特許事務所へ行きました。
弁理士に相談したところ「本来取得すべき商標はその商品を指定商品としていなければならなかった」と言われガックリ。さらに、警告書を送ってきた会社が既に商標登録していたので商標出願をやり直しても商標登録を受けることは無理だとのこと...
このような商標にまつわるトラブルを避けるために
商標出願で指定商品又は指定役務(サービス)を慎重に選択しないと、狙った商標登録が得られません。また、的外れな登録商標であることを知らずにその商標を使用すると他人の商標権侵害にもなりかねません。
ところが、指定商品・指定役務(サービス)の区分は45にも分かれていて、自分が取りたいものがどの区分に属するのか一見しただけではわからないことが多いです。
その商標を使った商品のシリーズ展開やフランチャイズ展開などを見据えた場合は、戦略的な配慮も必要になると思われます。適切な指定商品又は指定役務(サービス)を選択するためには、やはり弁理士など商標の専門家に相談するのがよいでしょう。