小売業・卸売業(流通業)の商標登録対応
08/02/19小売業・卸売業(流通業)の商標対応
○スーパー、専門店、通信販売、ネットショップ・オンラインショップ、問屋、商社等をご経営の方は、是非、ご覧下さい!H19より、小売サービス・卸売サービスも、商標法上のサービスとして認められるようになりました。
新規に小売業・卸売業を行う場合だけでなく、以前から小売業・卸売業を行っている場合も、小売サービス・卸売サービスを指定して、店名、会社名、店や会社のロゴマーク等を商標登録することができます。
貴方の店名・会社名・店や会社のロゴマーク、今までみたいに使える?
小売サービス・卸売サービスを指定して商標登録するのは、店名、会社名、店や会社のロゴマーク等が多いと思いますが、ずっと前から使っているとか、商号登記してあるからといった理由だけでは、今までみたいに自由に使えなくなってしまうことがあります。
但し、商号がありふれた名称等である場合(「伊藤株式会社」「有限会社山田」等)は、そもそも商標として認められませんので、他人が商標登録することもできません。そういった商号を、書体や全体の構成等を特殊にせず、そのまま普通に使う限りにおいては、商標の心配はしなくてよいかもしれません。
そうでなければ、以下の点にご注意下さい!
ずっと前から使っていても…
他人が小売サービス・卸売サービスを指定して貴方の店名・会社名・ロゴマーク等と同一・類似の商標を登録しても、貴方がH19.4.1に現に小売サービス・卸売サービスを行っていた業務範囲内であれば、継続して使用することができます。
また、H19.4.1に貴方の店名・会社名等が需要者に広く知られている場合は、現実に行っている小売サービス・卸売サービスの業務範囲内に制限されることなく、継続して使用することができます。
でも、いずれの場合にも、商標権者から、登録商標と混同を防ぐための表示を付すように請求される場合があります。例えば商標権者の登録商標が「X」で、当方の店名・会社名等も「X」の場合、当方は「名古屋のX」等という表示に変更しなければならないことがあり得ます。商標権者の支店のような表示をしなければならない羽目になると、ダメージは大きいと思われます。
このように、以前から正当に使用していたとしても、「そのまま」使用できることは保障されないのです。“継続的に使用できる”権利はあくまで「保険」程度と考えるべきだと思います。
商号登記をしていても…
商号と商標は別物です。商号はたとえ近辺地域でも同一・類似商号が複数存在し得ますが、商標の効力は全国に及びます。したがって、別人の商標で同一・類似のものが複数存在することは原則としてありません。
つまり、誰かがある商標を登録したら、他の人は同一・類似の商標を勝手に使用することはできなくなるわけです。
もちろん、例外はあります。
商号が周知・著名といえるほど広く知れ渡っている場合等。しかし、このようなことを根拠に保護を求めるには裁判を起こす必要がある、主張立証のための資料を揃える必要がある等、負担が大きいです。
また、商号が周知・著名でなくても、会社の表示としてしか使わない場合は、商標権侵害とはなりません。でも必ず「株式会社○○」「有限会社××」と表示しなければならず、「○○」「××」だけで表示すると侵害になる可能性があります。また、「株式会社○○」「有限会社××」を大きく表示して広告すると、商標として使用していると判断される場合もあり、侵害の可能性を否定できません。つまり、いつも控えめに「株式会社○○」「有限会社××」と表示せざるを得なくなるかもしれません。
いずれにしても、他人に商標を登録されてしまうと、自由に店名・会社名等を使いにくくなることには変わりありません。それを避けるために、先に出願・登録しておくことをお勧め致します。
小売サービス・卸売サービス商標と商品商標との関係
小売サービス・卸売サービスの商標と商品の商標は互いに類否判断がなされることになっています。
例えば、眼鏡の専門店であれば、“眼鏡の小売サービス”を指定して、店名「Y」を商標出願できますが、“眼鏡”という商品を指定した商標「Y’」と類似と判断されることになります。
それでは、小売サービス・卸売サービスの商標とするのか、商品商標とするのか?
決め手は、商標をどのように使用しているのか(する予定なのか)ということです。使用態様に応じた保護範囲を考える必要があります。
商品との具体的な関連性があるような使用形態は、商品商標の使用と考えられます。
例えば、商品そのものに店名・会社名等を刻印したり(石けん等)、商品の包装容器に直接印刷したり(ジュースの缶等)、その商品のタグに表示する(衣服等)こと。
また、広告チラシ・価格表に商品の写真を掲載して、その写真の近くに店名・会社名等を表示すれば、その商品の商標と認識されますので、商品商標の使用と考えられます。
商品との具体的な関連性が見出せないような使用形態は、小売サービス・卸売サービスの商標の使用と考えられます。
例えば、店舗内の案内板・店舗の看板、陳列棚、会計用レジスター、店員の制服・名札等に店名・会社名等を表示すること。
また、ショッピングカート・買物かご、レジ袋・包装紙や、値札に表示した場合、それらが特定の商品専用でなく汎用されているものであれば、小売サービス・卸売サービスの商標の使用と考えられます。
さらに、広告チラシでは、チラシの枠外や隅に店名・会社名等を表示することは、小売サービス・卸売サービス商標の使用と考えられます。
小売サービス・卸売サービス商標と商品商標の具体的な選択基準
店名・会社名等を商標出願する場合の具体的な選択基準をごく簡単にご紹介致します。
もちろん、複数の場合に該当して、小売サービス・卸売サービス商標も商品商標も選択しておいた方が確実な保護範囲を得られるケースもあるでしょう。また、上記使用態様を考慮して、両方選択しておいた方がよいケースもあると思います。迷われたら、特許事務所に相談されることをお勧め致します。
他社製造製品(他社ブランド商品)を販売する場合
→小売サービス・卸売サービス商標が主
オリジナル商品・プライベートブランド商品を販売する場合
→商品商標が主
製造小売で自社製造商品を販売する場合
→商品商標が主
アンテナショップ・直営販売店・直営販売サイトで元メーカーの商品を販売する場合
→上記使用態様により、商品商標が主となる場合もあり、小売サービス・卸売サービス商標が主となる場合もある
その他の商標に関するアドバイスはこちらからどうぞ
